現金主義とは
「現金等」の「入金時=収益」と「支出時=費用」と処理する方法です。
ちなみに「現金等」となっているのは、預金口座への振込も考えられるからです。
「利益=(収益=入金額)-(費用=支出額)」と考えます。
よって現金主義の場合は、売った時点では特に処理をせず、入金時点で「売上計上処理」と「入金処理」を行います。
1月 | 2月 | |
取引内容 | 売上発生(1ヶ月後の掛け取引) | 入金発生 |
現金主義 | ― | 売上計上処理/入金処理 |
メリット
ビジネスにおいて重要なのはお金をちゃんと回収できるかどうかです。
売ったけどお金がもらえるのが半年後だったとしましょう。
もしその間にその会社がつぶれたらどうでしょう。
お金が回収できなくなってしまいます。
つまり売上がなかったことになります。
現金主義での処理であれば、お金が回収されたという事実に基づいて行うため確実性が高いです。
また会計不正が行いにくいというメリットもあります。
デメリット
社用車や機械装置や建物などのように長期間にわたって事業に使用される資産性のあるものも、購入時点でしか記録がされない、実態が把握できません。
また、実際のビジネスでは「掛け」による取引が多いです。ちなみに「掛け」とは後日入金や後日支払いをいいます。
商品を売ったり、サービスを提供したのに、実際の入金されないと売上として処理できないことになってしまいます。
逆に費用の場合、物を買った時点で費用とできたら「利益」をコントロールできてしまいます。
「利益」がコントロールできるということは「税金」をコントロールできてしまいます。
適切な「税金」のコントロールは「節税」ですが、不適切な「税金」のコントロールは「脱税」です。
現金主義を利用する対象者
資産や負債がほとんどなく、かつ、取引のほとんどが現金取引をしているような小規模事業者。
所定の手続きにより認められた小規模事業者である青色申告者(の事業所得等)。
発生主義
発生主義とは、物やサービスを提供した、提供を受けたという事実が確定した時点をもって「売上」や「費用」を記録します。
よって、掛売上や掛仕入など、金銭のやり取りがまだ行われていなくても、生じた取引として計上をすることができるわけです。
販売のために仕入れた商品についても、仕入代金を支払った時点で費用とするのではなく、商品が売れた時点で売上と仕入代金を一緒に処理することで、差額分である「利益」を計算します。
よって発生主義の場合は、売った時点で「売上計上処理」を行い、入金時点で「入金処理」を行います。
1月 | 2月 | |
取引内容 | 売上発生(1ヶ月後の掛け取引) | 入金発生 |
発生主義 | 売上計上処理 | 入金処理 |
また長期間にわたって事業に利用する社用車や機械装置などの固定資産は、一度に費用とするのではなく、その固定資産の対応年数にわたって分割して費用とする「減価償却」という会計処理で行います。
まとめ
1月 | 2月 | |
取引内容 | 売上発生(1ヶ月後の掛け取引) | 入金発生 |
現金主義 | ― | 売上計上処理/入金処理 |
発生主義 | 売上計上処理 | 入金処理 |
より正確な会計を行うために、「発生主義」による会計処理を行う必要があります。
現状「発生主義」による会計方法を採用している企業がほとんどです。
また、個人事業主も、確定申告で「青色申告特別控除」という優遇を受けるならば、発生主義による複式簿記を行わなければなりません。
-
06費用収益対応の原則とは?
収益と対応関係をもつ費用を当期費用とする考え方です。 対応関係は「会計期間を媒介とする期間対応」と「売上と売上原価のような個別対応」との2つあります。 目次1 会計期間を媒介とする期間対応2 売上と売 ...